検査
検査
◎血液生化学検査
◎尿検査
◎便検査
◎生理検査
・心電図
・24時間ホルター心電図
・血圧脈波検査(ABI/baPWV)
・神経伝導検査(DPN)
・超音波検査(頸動脈・甲状腺・腹部)
・簡易眼底検査
・簡易視力検査
・簡易聴力検査
◎放射線検査
・一般撮影(胸部・腹部レントゲン)
・骨密度測定(DEXA法)
※当院では内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)、バリウム検査、CT、MRI、甲状腺穿刺細胞診は行っておりません
肝機能
・AST ・ALT ・γ-GTP ・総ビリルビン
腎機能
・尿素窒素(BUN) ・クレアチニン(Cre) ・尿酸(UA) ・eGFR
脂質代謝
・総コレステロール ・中性脂肪 ・LDLコレステロール(計算法) ・HDLコレステロール
・nonHDLコレステロール
糖代謝
・血糖値(グルコース) ・HbA1c
甲状腺機能
・TSH ・FT3 ・FT4
血液検査一般
・赤血球数 ・血小板数 ・ヘモグロビン値(Hb) ・ヘマトクリット値(Hct)
・MCV ・MCH ・MCHC ・白血球数・白血球3分画
炎症反応
・CRP
電解質
・Na ・K ・Cl
その他
・CK(CPK)
◎当院で検査可能であるが、当日には結果のでない(後日ご報告する)検査
血中Cペプチド、インスリン値、抗GAD抗体、75g経口ブドウ糖負荷試験、TSHレセプター抗体、抗ペルオキシダーゼ抗体、抗サイログロブリン抗体、サイログロブリン値、腫瘍マーカーなどの検査項目は外部の検査機関での解析となります。そのため後日結果説明を行います。
健康診断や体調不良時に病院で血液検査を行ったことのある方は多いでしょう。その際、各項目に設定された基準値を逸脱している場合に、検査結果の数字の横にHやLがついていることや、数字が青色や赤色になっていることがありますよね。これらの表記がある際には体の中で異常が起こっている場合があります。しかし基準値とは正常値ではなく、病気のない人の検査成績の上下端の2.5%ずつを排除した、残りの95%が含まれる値として設定されております。つまり基準値から外れていても病気がないこともあるのです。一つの検査値の高低ではなく総合的に判断する必要があります。特に内分泌(ホルモン)の世界ではホルモンを増やしたり減らしたりして血圧、体温など体の調子を一定にする仕組み(=恒常性)があるため、検査値が異常値であったからといって必ずしも病気があるとは限りません。以下、血液検査項目について説明します。
※なお医療機関により測定方法や使用する試薬が異なるため基準値にずれが生じます。
肝機能
・AST ・ALT ・γ-GTP ・総ビリルビン
これらの項目は肝臓に障害があり肝細胞が壊れることで高値を示します。
ASTは主に心筋や骨格筋、赤血球中に多く存在する酵素、ALTは主に肝臓中に存在する酵素です。ALTだけ高値またはAST・ALT共に高値の際には、脂肪肝や肝炎、肝がんなどの病気が疑われ、ASTのみが高値の際には心筋梗塞や筋肉疾患が疑われます。
γ-GTPは肝臓のほかに胆嚢に障害があることで高値を示します。また、アルコールに敏感に反応するため数値が高い場合にはアルコール性肝障害が疑われます。薬物療法を行っている方では薬物による薬剤性肝障害で高値を示すことがあります。
総ビリルビンは、肝機能障害や、皮膚や白目が黄色くなる黄疸が出現する時に高値を示します。
腎機能
・尿素窒素(BUN) ・クレアチニン ・尿酸(UA)
これらの項目は通常尿中に排泄されますが、腎臓の機能障害が生じることで尿中に排泄されずに高値を示します。また脱水時にも高値を示すことがあります。
尿酸は、プリン体という物質が代謝された後の老廃物です。体内での尿酸値が高い状態では痛風や尿路結石を引き起こす要因となります。
eGFRは腎臓の処理能力を表す指標です。加齢とともにeGFRは低下しますが、腎機能障害によりeGFRは低下します。
脂質代謝
・総コレステロール ・中性脂肪 ・LDLコレステロール ・HDLコレステロール
・nonHDLコレステロール
中性脂肪は体内で最も多い脂肪であり糖質がエネルギーとして脂肪に変化したものです。食事の影響を最もよくうけるため食後の血液検査では高値を示す場合があります。
LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれ、高値が続く際は動脈硬化のリスク要因となります。反対にHDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれ、血液中の悪玉コレステロールを回収します。検査値のなかで唯一高値を示すことが良いとされています。通常LDL/HDLで評価を行います。
糖代謝
・血糖値 ・HbA1c
血糖値は、検査したその時の血糖の濃度を表します。そのため食後検査を実施する時間帯によっても大きく数値が変動します。一方、HbA1cは血液中の糖とアルブミンが結合したものであり、過去1-2ヶ月での平均的な血糖値を表します。
空腹時血糖値126mg/dL以上、かつHbA1c6.5%以上で糖尿病と診断できます。
甲状腺機能
・TSH ・FT3 ・FT4
甲状腺とは喉にある蝶のような形をした臓器であり、体内の代謝に大きく影響を与えます。甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンには、トリヨードサイロニン(T3)とサイロキシン(T4)の2つがあり、この2つのホルモンは、脳にある下垂体という臓器から甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌によって調整されています。甲状腺ホルモンが過剰となった際にはTSHの分泌が抑制され、反対に甲状腺ホルモンが不足した際にはTSHの分泌が促進されます。これらのホルモン調整がなんらかの原因で乱れることで甲状腺機能障害が引き起こされます。
血液検査一般
・赤血球数 ・血小板数 ・ヘモグロビン値(Hb) ・ヘマトクリット値(Hct)
・MCV ・MCH ・MCHC
・白血球数 ・白血球3分画
上記2段の項目が低値を示す場合やめまいや立ち眩み、頭痛などの自覚症状が現れる際には貧血を疑います。女性では生理の関係で低値を示すことが多く、鉄剤やサプリでの補充が必要となる場合があります。
白血球は免疫機能の調整に関与し、細菌性感染や炎症、腫瘍の存在で高値を示します。また、ウイルス性感染症では低値を示すことがあります。
炎症反応
・CRP
数値が高値の際には感染症やがん、自己免疫性疾患など何らかの炎症が起こっている可能性があります。白血球と共に身体での炎症反応に応答して上昇します。
電解質
・Na ・K ・Cl
電解質は身体の恒常性を維持するうえで重要な役割を示します。これらの異常値はホルモン異常をはじめとする様々な疾患が隠れている可能性があり、代表的な疾患は以下のとおりです。
Na低値:副腎皮質機能低下症、下垂体機能低下症など
Na高値:原発性アルドステロン症、尿崩症、高Ca血症など
K低値:原発性アルドステロン症、クッシング症候群、尿細管性アシドーシスなど
K高値:副腎皮質機能低下症、腎不全、高度脱水症、代謝性アシドーシスなど。
その他
CK(CPK)
CPKは筋肉に多く存在する酵素であり、筋肉が損傷することで高値を示します。そのため激しい運動時や筋トレ後には高値を示すことが多く、また心筋梗塞や心臓病の病気の際にも高値を示します。脂質異常症の治療で用いられる薬剤の副作用として横紋筋融解症があり、このCPK値の上昇が診断の決め手になります。そのため、当院の脂質異常症の治療においては、効果判定としてコレステロール値だけを見るのではなく、安全性を確認するため必ずCPK値を検査しています。
尿検査
・尿蛋白 ・尿潜血 ・尿糖 ・尿ケトン体 ・尿白血球 ・亜硝酸塩・尿ビリルビン・尿ウロビリノーゲン ・尿比重 ・pH
尿検査では、尿に含まれる成分を調べることで腎機能障害をはじめとする様々な疾患や徴候を早期に発見することができます。
当院では、当日受付の際に自分の名前の書かれた紙カップをお渡ししますのでそこに採尿し、専用の受け渡しBoxへの提出をお願いいたします。
採尿に適した時間は検査を受ける時間にもよりますが、午前中の健診では起床後最初の尿を、午後の検査では来院直後の尿が望ましいといわれています。とはいえ排尿を我慢して来院なさるのが難しいこともあると思いますので、専用容器をご自宅にお持ち帰り頂き、次回受診時の当日朝に採尿した容器をご持参いただくことも可能です。
通常の尿検査では、3-5項目を調べますが、当院では合計10項目を確認しております。それは糖尿病治療において、尿ケトン体など患者様の安全な治療に欠かすことのできない項目を確認する必要があると考えているからです。
※女性の方において、生理の際の尿検査は経血の混入により正しい結果が得られない場合があります。そのため、生理があらかじめわかっている際にはご申告いただければ当日の検査を見送るかを医師が判断いたします。
便検査(便ヒトヘモグロビン検査)
便ヒトヘモグロビン検査では、主に大腸がんの早期発見や下部消化管からの出血の有無を確認するために行われます。早期の大腸がんは自覚症状に乏しく、症状が出現してからでは手遅れとなってしまう場合があります。そのため、症状がなくても定期的な大腸がん検診が推奨されます。
当院では便ヒトヘモグロビン2回法により、通常1日1回、2日間の便を提出していただきます。1回でも陽性が出た際には精密検査の受診を推奨しています。
※女性の方において尿検査と同様に生理の際には正しい結果が得られない場合がありますので、生理の日を除いた2日間の便の提出をお願いします。
生理検査
・心電図
心臓は全身に血液を循環させるために収縮と拡張を繰り返し、そのさいに微細な活動電流を発生させます。心電図ではその活動電流を波形として記録することで不整脈や心筋梗塞などの疾患を発見することができます。
・24時間ホルター心電図
心電図検査で要検査となった方や胸痛や動悸などの自覚症状がみられる方に対して推奨される検査です。
胸部に小型の心電図装置を取り付けて、24時間日常生活をして頂きます。記録された心電図から胸痛や動悸などの原因が心臓に起因しているものなのか、また病院で受ける短時間での心電図では測定できなかった不整脈の有無を確認することができます。
<24時間ホルター心電図の注意点>
・当院での検査では装置を取り付けている間の入浴やシャワーは可能です、しかし、水泳や海水浴、サウナなど長時間水に触れることや汗をかくことは避けましょう。
・運動制限はありませんが、多量な汗をかく運動は装置が取れやすくなる原因となりますのでお控えください
・電気毛布やホットカーペットなど電極があるものの使用はお控えください
・血圧脈波検査(ABI)
血圧脈波検査とは、両手両足の血圧を測定し、動脈硬化の進行を血管年齢で表示します。年齢と共に動脈硬化のリスクは増加するため、定期的な検査で確認することが必要です。
・神経伝導検査(DPN)
神経伝導検査は、糖尿病の患者様に対して合併症である糖尿病神経障害の診断に用いられます。
糖尿病神経障害は最初に足先のしびれや違和感からはじまります。そのため、足に対して微細な電気的刺激を与え、筋肉や神経への電気的信号の伝わりやすさを記録し評価します。個人差はありますが、電気的信号に対してぴりぴりとした痛みを感じることあります。
・超音波検査(頸動脈・甲状腺・腹部)
人の耳では聞こえない高い周波数の音波を利用して体内を評価します。
超音波が体に伝わりやすいように測定場所の首や腹部にゼリー状の液体を塗り、プローブという機械をあてて検査を行います、ゼリーが少し冷たくひやっとすることがありますが、痛みを伴わず身体への負担がないことが特徴です。
各種超音波検査では以下の評価を行うことができます。
頸動脈超音波:コレステロールの蓄積による動脈硬化や狭窄の有無
甲状腺超音波:甲状腺の腫瘍や炎症の有無、リンパ節腫脹
腹部超音波検査:肝臓・胆のう・膵臓・腎臓・脾臓など各臓器の腫瘍性の病気の発見
・眼底検査
糖尿病の合併症の1つに網膜症があります。当院では無散瞳の眼底撮影カメラであるライアンスコープを用いて糖尿病による網膜の初期変化を検出して眼科専門医による精密検査を推奨すべきか判断します。
※当院での眼底検査で異常がみられない際にも定期的な眼科受診は必要となります。
放射線検査
・一般撮影(胸部・腹部レントゲン)
X線という放射線を用いて、胸部や腹部などを撮影し、肺炎や肺腫瘍など肺の病気、腸閉塞(イレウス)など腹部臓器の病気の診断に用います。さらに、家族性高コレステロール血症で認める、アキレス腱の肥厚を確認する際にも一般撮影を行うことがあります。
<一般撮影時の注意点>
・アクセサリーや金属類、プラスチックやカイロ、シップ等は写真に写り込んでしまうためあらかじめ撮影前に外していただくようにお願いいたします。
・専用のガウンを貸出いたしますので必要な際にはご使用ください
・骨密度
骨密度の主な検査方法として「DEXA法」「MD法」「超音波法」の3つがありますが、当院では最も信頼性の高い「DEXA法」での測定を行います。1回の検査で腰椎と大腿骨の骨密度を連続的に計測し、骨粗鬆症の早期診断に役立てます